SX赤道儀/メンテナンス

出典: STARBOOK WIKI

目次

注意
STARBOOK wikiでは分解整備の手順および整備後の動作を一切保証いたしません。 分解される場合は、ご自身の責任の下で行なってください。
 

SX赤道儀を使用していくうちに、赤経/赤緯軸の回転が渋く(重く)なっていく場合があります。機械いじりに自信がある方は、ご自身で分解・調整にチャレンジしてみましょう。


分解整備で調整できる事は?

分解整備で出来る事は、以下の通りです。

  • 各軸ギアの噛みあい調整
  • 各軸のガタ調整
  • 不要なグリスの除去

噛みあいの問題で非常に重くなっている場合と、逆に空転すれすれのような場合があります。モーターの動力を伝える為のギアのスラスト方向(軸方向)にガタがあると、そのまま軸のガタとして赤道儀の挙動に現れます。 SX赤道儀では、軸およびギアに必要以上のグリスが塗られています。場合によっては、軸のグリスを一旦除去し、新しいものに交換したり、グリスの量を減らしたりする事で、動作が軽くなる事があります。


分解に必要な工具等は?

必要な工具

工具 用途 価格 備考
六角レンチセット 分解全般 1000円~PBの5000円クラスまで、ミリネジです。お好きなものを ネジの頭は全部六角です。数種類使うのでセットで安いのを買うといいでしょう
リングプライヤー 軸の分解時に必要 1000円~2000円 直径50mmクラスのリングを外せるものが必要です。執筆者は20mmクラスの物を無理矢理使ってます
プライヤー リング回し他 ~1000円。車載工具で十分です,あると便利
モンキーレンチ ギアボックスのスラスト調整に必要 1000円くらい? これは必ず必要です
パーツケース 外したパーツの管理 100円ショップのプラ製で十分 外したパーツは、部位ごとに管理した方が良いです。入れ物自体はなんでもOKです。複数個必要
ボロ布 グリスの大まかな除去に なんでもいい キムワイプなどの工業用ワイパーがあれば理想的。ティッシュはカスが部品に付着するので好ましくない


油脂類

油脂類 用途 値段
KURE 5-5-6 洗浄に使います。 ディスカウント屋で数百円
モリブデングリス グリスの再塗布に使用します DIY店で数百円。小さいので十分
エタノール 表面の清掃に使用します。車用ブレーキクリーナーでもかまいません 1000円くらい


分解手順

SX分解の基本

赤道儀を作業しやすいようにする

作業を行なう場合、必ず安定した台(バイス等)もしくは三脚上に固定した状態で行いましょう。

台に固定する場合、赤経軸方向に180度回転させた状態が、重量バランス的に安定します。

作業を行なう前に、ウェイト類や配線類は全て外しておきます。


両サイドの透明蓋を外す

SPHINXネームプレート(黒いの)を横にスライドさせると、六角ネジが2本現れますので外します。透明蓋は爪でも留まっていますので、爪を破損させないよう慎重に外してください。

この状態で、SXのモーター周りが見えるようになります。モーターは、ウェイト軸側の物が赤緯モーター、他方が赤経モーターです。



制御基盤部のパネルを外す

側面の上下、六角ネジ2本で留まっています。両サイドで留まっているので、左右合計4本のネジを外します。


次に、ウェイト軸のカバーを外します。カバー自体は回転させれば外れますがウェイト軸固定レバーが邪魔になりますので、あらかじめレバーを外しておいてから作業を行なった方が良いと思います。

レバー部は、レバー、レバー留めネジ、シャフト押さえネジ(太いの)、シャフト押しの金具(小さい円柱状のもの)で構成されています。中に入っている真鍮金具を無くすとネジが直接ウェイト軸を押す事になり、結果としてシャフトを傷つける事になりますので注意が必要です。

以上の分解で、モーターおよびギア周りへのアクセスが出来るようになりました。


赤緯軸周りの調整

赤緯モーターのギアを外す

赤緯モーターのギアを外します。ギアは横から六角イモネジで留まっています。

※ギアを外さないと、固くて赤緯ギアボックスが外れない場合があります


赤緯ギアボックスを外す

赤緯ギアボックスは、上(ウェイト軸側)から2本、制御基盤部側から2本の合計4本で固定されています。

制御基盤部側からは3本のネジが見えますが、真ん中の1本はウォームギアの噛みあい調整用ネジですので、脱着には関係しません。

※ネジを外す際は部品を歪ませないよう、各ネジを均等に緩めるようにした方が良いです


以上の作業で、赤緯モーターの動力を赤緯ホイールへ伝える為のギアボックス部が外れました。


赤緯ギアボックスの調整

赤緯ギアを手で回転させてみてください。この時点で固い場合、スラスト方向(軸方向、写真では左右方向になります)のギャップ調整がきつすぎる事になります。逆にスラスト方向に手で動かしてガタがある場合、ギャップが大きすぎます。この場合は写真左側のナットを緩め、中にあるメタル軸受けを回転させてギャップを調整します。

また、この際軸受けを緩めても軸の回転が固い場合があります。その場合は一旦クレ5-5-6などで洗浄してみてください。スラスト方向のギャップの調整は軸受けを時計方向に回すとギャップが小さくなり、逆に回すとギャップが大きくなります(通常はギャップ無しにします)。


赤緯軸を外す

赤緯クランプ(アリミゾ)部を固定している2本のネジを外し、クランプ部を取り外します。

外した部分には赤緯軸を固定する為のリングナットが入っています。このナットは横からイモネジで固定されていますので、先にイモネジを外してからナットを外します。

※リングナットはリングプライヤー(無ければコンパス?)を上部の2箇所の穴に突っ込み、回転させます。


これで赤緯軸が筐体から抜けます。


赤緯軸には大量のグリスが付着していると思います。このグリスが必要以上に抵抗になっている場合がありますので、一旦拭き取り、新しいグリスをごく薄く塗布します。

※GPDなどでは、頻繁に分解メンテナンスを行なう代わりに、冬場などはグリスを塗らない、という方も居るそうです。


赤緯軸挿入

グリスを塗りなおした赤緯軸を筐体に戻します。この際、上下に樹脂製のドーナツ型シートを入れ忘れないよう注意してください。


赤緯ギア装着

赤緯ギアを元に戻します。この際、ホイールとギアとの噛みあい調整を行なう必要があります。

まず左右の2本と上から留めていたネジ2本の合計4本を仮止めします。

噛みあいは、写真中央の3本のネジで調整します。真ん中を締め込むとギャップが大きくなり、緩めるとギャップは小さくなります。

通常、ギアの噛みあいは「紙一枚分程度」と言われています。噛みあい調整は慣れが必要ですので、最初は当たり障りの無い範囲で調整してみると良いでしょう。

(本記事作成者は、重くならないギリギリのあたりまで近くする、という形で調整しています)

ある程度噛みあいの感じが掴めたら、仮止めしていたネジを締めてみます。上2本を先に軽く締め、次に左右のネジを締めます。

※左右のネジは真ん中の押しネジに対して逆方向に引っ張る為のものですので、ある程度の強さ以上締める必要はありません。

最後に上のネジを完全に固定し、再度重さや噛みあい具合を検討し、問題が無ければ調整終了です。

最後に、外してあった赤緯モーターのギアを固定します。



赤経方向の調整

(記事未作成です)


組み立て

外していた赤緯クランプ周り、制御基盤部、ウェイト軸カバー部を元に戻します。


確認作業

最初は無負荷(架台に何も載せない状態)で、各モーターやギアの回転状況を観察してください。

この時点で異音がする場合は赤道儀を即停止させ、再度各部の組み立て、ギャップ調整を確認してください。

無負荷の稼動で問題が無い場合、作動音に注意してみてください。

以前よりも軽やかな音になっていれば成功です。

鏡筒を載せて、赤道儀が今までの動作傾向とどのように異なるかを観察してみてください。


分解経験者余談

当記事作成者の場合、赤緯方向に動かなくなるという状態に陥ったので、上述のメンテナンスを行いました。この作業により赤緯方向は嘘のように良く回る(?)ようになりました。


しかし、今度は何のメンテナンスもしなかった赤経方向のアラが見えるようになりました。

なかなか一筋縄ではいかないようです。


関連項目


外部リンク

ビクセン

:wikipedia:ビクセン_(企業)